こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長 富永佳代子です。コロナ感染防止のため、マスク必須の日々が続いています。ずっと気になっている前歯の色、奥歯の金属の被せ物をきれいな白い被せ物にしたいと考えていらっしゃいませんか?
被せもの(クラウン)には、種類がたくさんあって、それぞれ特徴があります。今回は、その種類、特徴についてお話します。
保険治療適応の白い被せ物
従来、保険適応では、硬質レジンジャケット冠(すべて白いプラスチックでできた被せ物)、硬質レジン前装冠(裏に金属のフレームが入った被せ物)が主流でした。現在は、ハイブリッドセラミックと呼ばれる硬質レジンにセラミックの粒子の入った被せ物が適応されています。金属アレルギーや金属の高騰に伴いメタルフリーが叫ばれているので、保険治療でハイブリッドセラミックの被せ物での治療が受けれるようになりました。これは、CAD/CAMの技術が向上したことによります。CAD/CAM = Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturing つまりデジタル技術を使って作られる被せ物の一種です。
利点は全てが金属の被せ物に比較して、白いということで、見た目の改善です。しかし、レジン(プラスチック)には、吸水性があり、経年劣化、経年変色があり、噛む力が加わるとひずんで変形しやすい欠点があります。そのひずみのせいで、歯と被せ物の間のセメントが壊れやすくなり、外れやすいという欠点があります。特に歯ぎしりや食いしばりのある方には、影響が強くでます。
CAD/CAMの製作方法
では、どのように被せ物を製作するのでしょうか?
CAD/CAM = Computer Aided Design/Computer Aided Manufacturingの方法は、
①スキャニング
お口の中の被せる歯の形を歯科用スキャナーで直接スキャン、もしくは歯の形の型取りした石膏模型をスキャンしてデジタル化します。
②設計
デジタル画像をもとに被せ物の形をパソコン上で作成します。
③削りだし
パソコン上で設計した被せ物を材料から機械で削りだしして、被せ物を製作します。
④装着
お口の中でかみ合わせの微調整をした後、セメントにて装着します。
以上の製作過程によって治療が進みます。
自費の白い被せ物
従来は、メタルボンドと呼ばれる、金属のフレームの外側に白い陶材(瀬戸物)を張り付けて歯の色調に仕上げるものが主流でした。これは、歯科技工士さんの全て手作りで、時間的にも技工士さんの技術にも影響される被せ物でした。
現在は、デジタル技術の進歩、歯科材料の進歩に伴い、メタルフリー化が進み、オールセラミックCAD/CAMクラウンが主流になってきています。先ほどの保険のハイブリッドセラミックとの大きな違いは、使用する材料や製法です。全てがセラミックでできており、歯のエナメル質に硬度が近い材料で、保険適応のハイブリッドセラミックや硬質レジン冠と違い吸水性がないので変形、変色しにくく耐久性があります。メタルボンドに比較して、金属を使用しないことから、金属アレルギーや金属色の影響を受ける心配がありません。特にジルコニアという材料が、以前に比較し、色調や透明性(透け感)の問題が改良され、耐久性に加えて見た目(審美性)も兼ね備えるように、歯科材料の主流になってきました。
以前は、オールセラミックと言えば、「見た目はきれいだけど、強度が弱い」ジルコニアは「硬すぎて歯や顎関節に悪影響」と言われていました。しかし、現在では、材料の進化のおかげで、この欠点が解消されて、耐久性、審美性ともに優秀なオールセラミックの治療が可能なり、概念は全く変化しました。特に、フルジルコニアの被せ物は、硬く変形しにくいので、歯ぎしりや食いしばりによるひずみが少なく、細かなヒビができないため、かみ合わせの歯にも摩耗という影響が出にくいと報告されています。
次回はオールセラミックの被せ物の種類、選択肢についてお話します。
富永歯科クリニック院長 富永佳代子