こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 副院長 赤野弘明です。いつもブログを読んでいただきありがとうございます。今日は歯磨剤についてお話したいと思います。
歯磨剤の種類について
福島駅周辺のドラッグストアなどで種々の歯磨剤を見かけます。どんな歯磨剤が良いのでしょうか?100均で売っている物から、数千円もする物もあります。
歯磨剤の成分とその作用について
歯磨き粉の成分表示を見て下さい。カタカナでいろいろな成分が表示されていますよね。
・乳酸アルミニウム 象牙細管という歯の象牙質にある管を封鎖する効果
・硝酸カリウム 刺激の伝達を抑制
この二つの薬剤は知覚過敏に効果があります。
・LSS(ラウロイルサルコシンナトリウム) 殺菌作用で口臭の予防に効果
・ポリエチレングリコール ヤニを溶解する効果
・モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)、フッ化ナトリウム(NaF)フッ素が含まれていて、歯質強化や再石灰化を促進 つまり、虫歯予防効果
・デキストラナーゼ(酵素) プラークの分解効果
・トラネキサム酸 出血防止効果
・ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、β-グリチルレチン酸 抗炎症作用歯周病予防に効果
私個人的な見解では、歯周病の原因は、歯肉溝内の歯垢や細菌が原因のため、これらの薬剤で、歯周病が治るとは考えていません。もし、あなたがけがをして、傷口に砂や泥がついていたら、まず何をしますか?いきなり薬を塗りませんよね。傷口の砂や泥を洗い流してから、消毒をして薬を塗るはずです。つまり、歯周病治療せずに、歯磨剤の薬効で歯周病が治る事はないのです。
歯磨剤は歯周病治療が終わって、プラークの付着防止効果によって、虫歯予防と歯周病予防を期待するものです。従って、MFPやNaF、乳酸アルミニウムや硝酸カリウム、LSS、ポリエチレングリコールが含まれていたら、高価な歯磨剤を使用する必要はないと思います。潤滑剤、発泡剤、香味剤は口腔清掃に特に必要な成分ではありません。口腔内の爽快感を作るためのものです。もちろん、口臭なども気になると思いますので、これらは好みで含まれているものを選ばれるのが良いでしょう。
マウスリンス剤の効果は?
お口のケアに熱心な方は着色も気になるかもしれませんが、毎日行う歯磨きで、歯も摩耗する為、特に歯肉が退縮して歯根が見えている場合は、研磨剤が含まれていないものをお勧めします。研磨剤が入っていないと、研磨効果がないので、着色は起こりやすいですが、歯の摩耗を考えると気になりますね。マウスリンス剤もご使用になっている方も多いのではないでしょうか?マウスリンス剤は何のために使うのでしょうか?なんとなく口の中がさっぱりして、口腔内の細菌をやっつけてしまった感覚がありますね?どの程度効果があるのでしょうか?マウスリンス剤に含まれる成分で、歯の付着物を分解する作用を持つ成分には、グルコン酸クロルヘキシジン(CHG)、塩化セチルピリジウム(CPC)、塩化ベンゼトニウム(BTC)などがあります。グルコン酸クロルヘキシジンは特に、殺菌効果が高いです。バイオフィルム深部へ浸透して作用する成分としては、ポビドンヨード(PI)エッセンシャルオイル(EO)、トリクロサン(TC) があります。歯垢などに作用して、除去しやすくするのが主な作用と考えられるので、マウスリンス剤は、ブラッシング前に口腔内に2~3分含み充分行きわたらせてから吐き出し、その後ブラッシングを行うのが良いと思います。イメージ的には、ブラッシング後に使用して、さっぱりさせるのがいいように思うかもしれませんが、一度その逆を試してみて下さい。
マウスリンス剤は、清掃効果をあげる補助的な材料です。まずはしっかり歯磨きを行いましょう。汚れ物を洗う時に、強力に汚れを落とす洗剤を流すだけでは、十分に汚れが取れないように、マウスリンス剤だけで十分に汚れは取れません。汚れを落ちやすくするためのものです。衣類などもその後、洗濯機に入れるように、歯も歯ブラシで擦るという物理的な除去作用が必要です。マウスリンス剤は汚れを落ちやすくする洗剤、歯ブラシは洗濯機と考えてください。
富永歯科クリニック 副院長 赤野 弘明