こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長富永佳代子です。「口腔機能発達不全」とても難しい言葉で一体どんな病気なんだろう?と思われますよね。今回は幼児、子供の「噛むこと」の機能力の低下、お口ぽかん対策についてのお話です。
口腔機能発達不全とは?
「固形物を噛むことができない」、「固形物を食べると吐き出す」、「固形物をそのまま飲み込む」「飲み込むのが下手」「柔らかい物しか食べない」「口の中に食べ物をためこんだまま飲み込まない」「2~3回噛んだだけで動きが止まる」「しゃべる時舌の使い方が下手」こんな現象がお子さんに見られないでしょうか?近年30年ぐらいの間で、保育士さんが気付き始めたのがきっかけで、子供の噛む機能が着目されてきました。昔は離乳食の与え方に問題があると言われてきましたが、最近の研究では、子供を取り巻く環境が変わり「口を使う機会」が少なくなったことも影響していると考えられています。
お子さんの食べ方は?
お子さんの食べているところを見たことがありますか?例えば、バナナを食べている時、ずっと唇が開いていてバナナが見えていませんか。そして飲み込む一瞬だけ口を閉じ、その後また口の中からバナナが見えている、、、そんな食べ方をしていたら、鼻呼吸ができない、お口ぽかんの状態を考えます。これは口腔閉鎖不全という症状です。このお口ぽかんがあると、将来的に永久歯の前歯の並びがきれいにならず、不正咬合を引き起こすことになります。
口遊びと口腔機能アップ
お口ぽかんなどの口腔機能発達不全症の原因は、離乳食の与え方や食物の軟食化、水分による流し込み食べなどがあります。しかし、単に食事の仕方だけが問題なのではありません。現代っ子は、口遊びの機会が減少傾向にあります。
口遊びとは、風船を膨らませる、口笛を吹く、ラッパを吹く、ストローでブクブクなど口を使った遊びのことです。昔はガムを噛んで風船を膨らませて遊びましたが、お行儀が悪いイメージがありますよね。口笛を吹くのも同様で、最近目にすることが少ないです。ゴム風船を膨らます遊びも誤飲の危険性から減少、赤ちゃんがラッパを吹くおもちゃも騒音を気にして減少、また核家族で祖父母から昔の遊びを教えてもらう機会が減少、テレビゲームの普及に伴う室内遊びへの変化、コロナ禍による感染防止への配慮など、子供を取り巻く環境の変化が大きく影響していると考えます。
唇を動かすことによって、お口周りの筋肉(口輪筋)を鍛える必要が、お口ぽかん防止に役立ちます。ここ2年はコロナ禍で、お友達と遊ぶときに息を吹きかけることは避けたい、マスク生活でしゃべることも少なく、ゲームで個々に遊ぶことが多いと思います。この影響が、数年後にお口の機能にどのように影響を及ぼすか懸念されます。
どんな遊びを?
ある保育園での取り組みを消化しましょう。舌や口の力を向上させるため、食育方面では、咀嚼力向上のため小魚や噛み応えのある食物を取り入れる、遊びの面では、あいうべ体操(あーいーうーと大げさに口を動かし、べーと舌を大きく突き出す運動)風車回し(ふーふーとお口をすぼめて息を吐く運動)を取り入れることによって、口腔機能発達に役立っている方向があります。コロナ感染を気にする現在ですので、集団生活では避けたい保護者の方も家庭内で環境を整えてお子さんとやってみてはいかがでしょうか?子供の遊びは、子供の健全な発育に影響を及ぼします。昔の遊びには、とても良いものが多いと思います。テレビゲームばかりでは、体と心の健全な発育は、期待出来なのではないでしょうか?
現代の子供を取り巻く環境は、コロナ禍以降、大きく様変わりをして困難な状況にあります。保護者の方も、どのように子供の遊び、食育と向き合っていくか、悩むことが多いと思います。現代社会は、子供にとって便利で、効率の良いことも多いですが、昔からの食育、遊びを再考することも必要かと考えます。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子