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口腔がんについて Part2

2021年12月17日

こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長富永佳代子です。前回に引き続き、お口の中にできる悪性腫瘍 口腔がんについてお話します。

口腔がん発生のリスク因子

口腔がんになりやすい場所は、お口の中で慢性的な刺激を受ける場所です。慢性的な刺激には、物理的刺激と化学的刺激があります。

物理的刺激では、歯が傾いていて四六時中舌やお口の粘膜に接触している、唇や舌を噛んでしまう、被せ物入れ歯が粘膜にあたるなどです。また、重度の虫歯を放置していると、歯のとがった部分が絶えず粘膜にあたり、口内炎が絶えず発生し、口腔がんになる可能性もあります。唇や舌を絶えず噛む癖も、粘膜を傷つける原因になります。また、パイプによる喫煙習慣で、パイプを噛んでいることが慢性刺激になるので、口腔がんになったという報告もあります。

化学的刺激では、食品添加物や人工材料の影響、歯周病が関与することもあります。歯周病では、お口の中の細菌感染による炎症が起こります。その炎症がお口の粘膜への刺激となります。口腔がんは、慢性的刺激が原因で発生することが多いため、このような物理的、化学的な要因は取り除く必要があります。

お酒とたばこ

アルコールと喫煙は、お口の中の粘膜を弱くし、傷つきやすくします。また、偏った食習慣、ビタミン不足も粘膜を弱める要因となり、特に加齢による粘膜の老化と重なり、高齢者になるにつれてがんリスクは高まります。

口腔がんは細胞レベルでいうと、「扁平上皮がん」が90%以上を占めます。扁平上皮とは、骨、筋肉、脂肪などを覆う薄い層のことで、皮膚や粘膜をはじめ体のいたるところにあります。お口の扁平上皮は、何もなくてもターンオーバーしており、約2週間で生まれ変わります。口内炎というのは、扁平上皮にできた傷の一種です、普通は何事もなく細胞分裂が起こり、傷が治ることにより約2週間で口内炎は治ります。つまり、2週間で治らない口内炎は要注意ということです。

また、人の体は、がん細胞に対して免疫機能があるので、簡単にはがん化しないのですが、傷ができて細胞分裂が繰り返し起こることにより、修復エラーが起こる確率が上がります。繰り返しできる口内炎は、ハイリスクとなり、要注意なのです。

予防のために

口腔がんは、胃や大腸のがんに比較して早期発見が容易ながんです。なぜなら、お口の中を見るだけで発見できるからです。早期発見、早期治療で会話や食事への影響も軽度にとどめることができます。

口腔がんの予防のために、以下のことに気をつけてください。

①お口の中を清潔に保つ

虫歯歯周病を放置しない

③合わない入れ歯の治療をする

④舌やお口の粘膜にあたる歯や被せ物、入れ歯を治療する

⑤セルフチェックをする

⑥歯科で定期検診を受ける

自分でのセルフチェックを

ぜひ、ご自分でお口の中をチェックする習慣をつけましょう。大きな鏡でお口の中にライトを当てて見てください。舌の側面、裏側、歯ぐき、頬の内側の粘膜、口蓋、唇などを見てみましょう。粘膜に赤色や白色の変化、硬いしこりがないか、もしあるのなら、2週間以上治らない場合、すぐに歯医者さんで診てもらいましょう。歯が当たっているなど慢性的な刺激が原因であれば、歯科で取り除いてもらいます。そして1週間後、2週間後と経過を観察して治ったなら、問題はありません。それでも治らないときは、専門病院で粘膜の細胞検査をする必要があります。

歯科での定期検診

ご自分でのセルフチェックでは、なかなか見分けがつかない場合、また、見えにくい場所もあります。例えば、舌の裏側や側面、舌の付け根の部分、奥歯の舌側の歯ぐきなどです。ですから、異常はなくても、半年に一度ぐらい歯医者さんでの定期検診で、粘膜部分のチェックもお願いしてください。万が一、前がん病変が発見されたら、がんへの変化を見のがさないために、3カ月に1度、定期的に診てもらいましょう。

富永歯科クリニック 院長 富永佳代子

 

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