こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長 富永佳代子です。夜も気温が下がらず、寝苦しい日々です。皆様は、睡眠中息苦しくて目覚めることはないでしょうか?
閉塞性睡眠時無呼吸をご存じですか?
睡眠中、下あごが下がり、舌が落ち込んで気道が狭くなると、いびきをかいたり、呼吸がしづらくなります。この症状がひどくなり、日中の生活にも支障をきたすのが、「閉塞性睡眠時無呼吸」です。簡単に説明すると、睡眠中に十分に呼吸ができず、酸欠になってしまう怖い病気で、そのサインが「いびき」なのです。
人間は、1日の約3分の1を睡眠に費やしています。つまり人生の3分の1は、睡眠です。睡眠とは、体と脳の休息時間です。しかし、睡眠中に窒息状態で酸欠になったら?息苦しくてすぐに目が覚めたら?、、、体に良いわけがありません。
「閉塞性睡眠時無呼吸」は、心臓、脳、血管に負担をかけてしまい、高血圧症、糖尿病、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、認知症のリスクを高める万病の元であり、放置すると命の危険になりかねません。
「歯科と睡眠は関係するの?」と思っていませんか?
歯医者さんは、お口の中を診ると、良い睡眠がとれているか、否か、すぐにわかります。
いびきは、睡眠中に酸欠になっているサインです。放置していると、命にかかわることもあるのです。いびきは、寝入りばなに起きることが多く、呼吸が妨げられ頻繁に覚醒がおこります。そして、眠りが浅くなった時に起きるのが「歯ぎしり」です。歯ぎしりがなぜ起こるのかは、まだはっきりとわかっていません。しかし、歯ぎしりによる歯の咬耗、頬や舌に残る食いしばりの跡、被せ物や詰め物の摩耗など、特徴的な痕跡が、お口の中に認められることが多いのです。また、歯の治療で、チェアーに仰向けになったとたん、いびきをかき始めて寝てしまう方がおられます。通常は緊張してしまう歯の治療中に寝てしまうのは、よほどの睡眠不足です。
これらのサインが、見つかったら、積極的に「睡眠時無呼吸」の検査を受けるように、患者さんにお声掛けをするのです。つまり、皆さんのお口の中を、最も近い距離で日々診ている歯医者さんが、「睡眠時無呼吸」に最初に気づくのです。
こんな兆候に思い当たる方は、医科で検査を!
・周囲の人にいびきを指摘された
・昼間に眠気が襲ってくる
・疲れが取れず、日常的に倦怠感
・朝起きると頭痛がする
・朝起きると、顎がだるい
いかがでしょうか?気になる方は、酸欠になっていないか、検査を受けて治療を始めてください。
日本人は要注意!こんな方は要注意!
欧米人に比較して、日本人は顎が小さく、鼻も低く、骨格的に気道の閉塞が起きやすいので要注意です。
肥満になっていると、舌が大きく気道を閉塞しやすくなるので要注意です。
閉経後の女性や、首が細く、気道の細い方もいびきをかきやすいので要注意です。
扁桃腺が大きいお子さんも要注意です。通常大人になると、扁桃腺は小さくなりますが、深刻な影響が出る前に切除が必要な場合もあります。
鼻が悪い人や口呼吸の人は、お口を開けて寝るので舌がダランと垂れ下がり、気道をふさぎやすくなります。
現在の歯医者さんは、単に虫歯の治療や歯周病の治療をしているのではなく、お口の健康を改善し、全身の健康管理を助けています。お口は体の中に栄養を摂取する入口です。閉塞性睡眠時無呼吸の有無にかかわらず、そもそも虫歯や歯周病で痛みや不快感があると、快眠できないですよね。良い睡眠のために、歯の健康に気を付けてください。たかが歯の治療と軽んじるのではなく、命にも係わることがある大事な治療とご認識下さい。
次回は「閉塞睡眠時無呼吸」の検査、治療のお話をご紹介します。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子