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たばこのリスク Part1

2021年10月11日

こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長富永佳代子です。今回のテーマは、たばこのリスクについて。

昭和の時代は、たばこ愛煙家には良い時代でしたよね。平成、令和と時代が進むにつれ、たばこを吸う場所を限定され、人の多い場所では禁煙、罰則金と、肩身の狭い思いをされていることでしょう。身体に悪いとわかっていても、なかなかやめられないのがたばこ。「たばこを吸う本数を減らす」、「アイコスのような加熱式たばこに変える」などして、健康被害を減らそうと努力している方もおられます。

煙草のリスク

たばこの本数を減らしたら、効果はあるのでしょうか?たばこのリスク=虚血性心疾患のリスクとして考えてみましょう。虚血性心疾患とは、心筋梗塞狭心症など心筋に血液が行かなくなることで起こる病気の総称です。

「煙草を吸わない人」のリスクを1としたときに「一日20本たばこを吸う人」が虚血性心疾患になるリスクは約1.8倍です。では、吸う本数が10分の1になるとリスクも10分の1になるのでしょうか?答えは否です。たとえ本数が2本になっても、リスクは1.4倍と高値です。つまり「煙草の有害物質が少なくなれば、それに比例してリスクは減らない」ということです。

加熱式煙草のリスクは?

においや健康への配慮から、日本で急速に普及している加熱式たばこ。アイコス、グロー、ブルームテックなど続々と発売されています。市場では約26%に達していると言われています。

紙巻きたばこは、直接火をつけ、燃焼により発生した煙を吸い込みます。一方、加熱式たばこは、たばこ葉に熱を加えて、そこから発生したエアロゾルを吸い込みます。そのため、一酸化炭素などの有害物質の量が減少し、紙巻きたばこより健康への被害が少ないと言われています。例えば、アイコスなどは、従来の紙たばこより有害物質が90%も少ないと言われいます。しかし、メーカーは「本製品の健康に及ぼす悪影響が他製品と比較して小さいことを意味するものではありません」と注意書きを記載しています。

量は減っていますが、発がん性物質を含んでおり、グリセロールや粒子状物質など紙巻きたばこより含有量が高い有害物質も含まれています。そして、加熱式たばこの健康被害の長期的研究は、まだ存在しないので、安易に紙巻きたばこより健康に良いと考えるのは危険だと言えます。

煙草と歯周病

紙巻きたばこが歯周病などのお口の健康の悪化を促進することは、ご存じかと思います。加熱式たばこなら、そのリスクは減少するかどうかはまだわかっていません。しかし、紙巻きたばこにも、加熱式たばこにも含まれる「ニコチン」成分はお口の細胞や細菌に様々な影響を及ぼすことは判明しています。

ニコチンとは?

ニコチンは煙草の依存性のかなめとなる物質です。体に吸収されやすく、煙やエアロゾルに含まれる形で肺に入り、肺の血管から全身に広がります。肺に入る前に、お口の中に煙として触れており、お口の粘膜からも吸収されます。ニコチン濃度の違いはあっても、ニコチンはお口の細胞に様々な害をもたらすのです。

①粘膜全体への影響

歯ぐき、頬の粘膜、口蓋(上顎の粘膜)、舌など、お口の粘膜細胞は、日々食べ物、飲み物が接することにより、過酷な状況です。小さな傷ができることも多々あります。その修復のため、張り巡らされた小血管が酸素や栄養を運んでいます。ニコチンには、血管を収縮させる作用があり、血流量は減少します。そうすると、歯ぐきに十分な酸素や栄養が行きわたらなくなり、細胞の修復機能が低下します。例えば抜歯をした後の傷の治りが悪くなったり、遅くなったりします。その他のお口の中の外科的手術の治りも悪くなってしまいます。また、ニコチンは細胞の遺伝子を傷つけ、がん細胞の増殖や転移などを誘発します。

富永歯科クリニックでは、抜歯親知らずの外科手術歯周病インプラントの手術の際に、「できる限り禁煙してください。」とお伝えしています。愛煙家の方々に、ニコチンのリスクをわかっていただいて、できる限り禁煙していただけるよう、御理解いただけたら幸いです。

次回は、さらにニコチンがもたらすお口への害をお話します。

富永歯科クリニック 院長 富永佳代子

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