こんにちは。大阪市福島区の歯医者　富永歯科クリニック院長富永佳代子です。今回は部分入れ歯の装着方法　つまりお口の中へのつけ外しについてお話します。

どうやったら　上手に部分入れ歯をつけれるの？

新しい部分入れ歯が、完成しました。今日から食事が楽しみ！と、わくわくしている皆さん。しかし、診療が終わる前に、富永歯科クリニックでは、必ず入れ歯の出し入れの練習があります。歯医者さんである私、もしくは歯科衛生士さんと共に、上手に入れ歯を出し入れできるまで、帰れないのです。1～2本の歯の付いた小さな入れ歯でも、10本以上の人工の歯の付いた入れ歯でも、出し入れが簡単な場合もあれば、難しい場合もあります。

患者さんから、「先生はどうしてそんなに上手に出し入れできるのですか？」と聞かれますが、私が患者さんの入れ歯を出し入れする場合は、診療チェアーが水平になっていて、お口の中が良く見える状態で、両方の手を使って出し入れするので、患者さんより有利な条件です。皆さんはお口の中が見えない状態で、部分入れ歯を出し入れするので難しいのです。最初は洗面所の前で、鏡を見ながら、出し入れの練習をしてください。慣れてきてコツをつかむと、鏡を見なくても、どなたでも上手に取り外しができるようになります。（きっと、私が出し入れするより上手にできます！）

出し入れのポイントは？

①金具の位置を合わせましょう

部分入れ歯の金具（クラスプ）を、おおよそ金具のかかる歯の位置に持っていきます。金具の位置が合っていないのに、強く噛んだりすると、入れ歯が割れたり、金具が変形してしまいます。また、ご自分の歯も痛めてしまうので、気をつけましょう。金具を正しい位置に持ってくるために、鏡の前で練習してください。下の入れ歯は、見えやすいのですが、上の入れ歯は、見えにくいので、気長に練習してください。必ず、コツをつかむと簡単に位置決めができるようになります。

②指で金具を押さえましょう

入れ歯が、お口の中の正しい位置にくれば、あと少し指で押さえるだけで、きちっとお口の中におさまります。左右両方に人工の歯がある場合は、必ず左右両方の指を添えてください。片側だけを押さえて入れようとすると、入れ歯が傾いてしまい、入らなくなります。押さえる位置は金具でも、人工歯の部分でも、押さえやすいところで構いません。

③軽く噛んでから強く噛みましょう

指で押さえて正しい位置に入れ歯が収まった後、軽く噛んでみてください。いきなり、ぐっと強く噛まないようにしてくださいね。入れ歯が変形、壊れることがあります。

歯医者さんで調節を！

先ほどもお伝えしましたが、富永歯科クリニックでは、必ず入れの出し入れの練習があります。入れ歯のデザインは、一人ひとり違うので、出し入れのコツも、違います。それぞれの方の指の使い方に合わせて、お教えしますので、気長に練習しましょう。できましたら、爪は切っておいて下さい。慣れないうちは、爪で歯茎を傷つけてしまうことがあります。

また、新しい入れ歯を装着したのち、最低一回は調整で、再来院していただきます。初めて入れ歯をつける方、出し入れが難しくて、不安な方の場合は、金具の強さをやや緩めに設定して帰宅していただきます。1～２日で、大半の方は、上手に出し入れできるようになるので、次回来院時には、金具の強さを少し強めることがあります。患者さんの日頃の食事の嗜好に合わせて、金具の強さを調整するので、決してご自分の判断によりペンチで曲げたりしないでください。金具が傷ついて折れてしまったり、入れ歯が入らなくなってしまい、再度入れ歯の作成が必要になります。（但し、保険診療では、入れ歯を作製後、6カ月間は新たな入れ歯作製はできないので、自費で作成することになりますので、注意してください。）
金具の調整は、簡単そうに見えて、実は難しいのです。

入れ歯使用に慣れてくると、金具が緩く感じることがあります。毎日の出し入れにより、金具が徐々に開いてきて、緩く感じたら、歯医者さんに相談してください。気づかないうちに、金具が変形や折れたりしていることもあります。この場合は、金具の交換、作り変えになることもあります。

ぜひ、入れ歯と仲良く付き合っていくために、上手な出し入れの方法を身に着けて、快適に楽しい食生活を！そして、入れ歯を長持ちさせるために、定期的に歯医者さんで診てもらってくださいね。

富永歯科クリニック　　院長　富永　佳代子