こんにちは、大阪市福島区の歯医者　富永歯科クリニック院長　富永佳代子です。今回は、歯のメインテナンスのお話です。定期的に歯のお掃除（歯石除去）に来られる皆さん、歯科衛生士さんが何をしているのか、ご存じでしょうか？今回は、一連の処置の中のPMTCのお話をします。

PMTCって？

PMTCは略語であり、その意味は、

P　Professional　専門家が

M　Mechanical　機械で

T　Tooth　　　　歯面を

C　Cleaning　　クリーニングする

ということです。定期的に歯のお掃除をするのは、単に歯石を取っているだけではありません。歯の表面には、バイオフィルムと呼ばれる細菌の塊が付着します。虫歯や歯周病は、細菌感染によって引き起こされます。歯の表面や歯周ポケット（歯肉のすきま）に入ったプラークの中の細菌が作った膜＝バイオフィルムが主な原因です。

バイオフィルムは、細菌がフィルム状のバリヤーに覆われているため、体の抵抗力で排除することはできません。また、抗菌剤や殺菌剤などの化学療法も効果的ではありません。PMTCは、このバイオフィルムを除去できる有効な手段です。

PMTCの効果

歯質の強化

研磨用のフッ化物入りのペーストを使用するので、歯の石灰化を促し、エナメル質を強化します。

虫歯の予防

細菌の塊であるバイオフィルムを破壊し、プラークを除去、再付着を防止、虫歯予防につながります。エナメル質へのカルシウム補給を行い、歯質強化に繋がります。

歯周病、歯肉炎の改善、予防

歯と歯肉の境目にあるプラークを除去することにより、歯肉炎の症状を改善します。その後、歯肉が引き締まり、歯周病、歯肉炎の予防に繋がります。

審美性の改善

たばこのヤニ、茶渋を取りのぞき、光沢のある歯面に回復、また表面が滑沢になるため汚れをつきにくくします。

PMTCの手順

歯、歯肉、歯ブラシの仕方のチェック

まずお口の中全体の検査をします。歯周ポケット（歯肉の腫れ度合い）を測定、歯肉の出血、歯石の沈着度合い、歯磨きの仕方を診ていきます。必要に応じて、歯磨き改善のためにブラッシング指導を行います。

歯石除去

お口の中全体の歯石を取り除きます。

研磨

クリーニングペーストを使って、歯面を研磨していきます。着色の状態、歯並びの状態によって、ペーストを選択、小型のブラシ、シリコンラバーのカップ、三角チップなどを使い分け、研磨します。その後洗浄し終了です。

かかる時間は、歯の本数や汚れ度合いによって異なりますが、30分から1時間です。毎月行う必要のある方もおられますが、お口の中の状態が良い方は、3~6カ月に定期的に行うことを推奨します。ＰＭＴＣをしているから、歯磨きは適当でいいかな？と思わないでくださいね。毎日のブラッシングを怠ると、バイオフィルム、歯石はすぐに再生します。日々のブラッシングが、歯の健康に一番重要なのです。

こんな場合は？

ＰＭＴＣは痛いですか？

歯のクリーニング用の柔らかいゴムやブラシを使うので痛みや不快感はありません。但し、事前に行う歯石除去は、少しチクチクしたりひびいたりするので痛いを感じる方もおられます。

金属の詰め物や被せ物、インプラントや入れ歯は大丈夫？

金蔵や詰め物を傷つけるような器具、研磨剤は使用しないので安心ください。入れ歯やインプラントが入っている場合、特に虫歯や歯周病になりやすいので，ＰＭＴＣがより効果的と言えます。

ＰＭＴＣは誰がするの？

主に歯科衛生士さんが行いますが、歯科医師が行うこともあります。

年齢制限はありますか？

お口を開けられるお子さんから高齢者の方まで年齢制限はありません。

白い歯になりますか？

歯面の汚れを除去し、ヤニや茶渋を落とし、光沢感のある歯に回復しますが、ご自身の本来の歯面の白さ以上にはなりません。その場合はホワイトニング処置を必要とします。

今まで歯のクリーニングを受けたことがない、歯医者さんが怖くて歯の治療に行けない方も、気軽にまずご自分の歯の状況を知るために、ＰＭＴＣを受けることからスタートしてはいかがでしょうか？

富永歯科クリニック院長　富永佳代子