こんにちは。大阪市福島区の歯医者「富永歯科クリニック」 院長 富永佳代子です。以前に衛生士さんも歯磨きについて、お話ししましが、私からも患者さんによくお話しする内容を紹介します。
1回何分歯を磨きますか?
歯周病ケア、虫歯治療に来られた患者さんに「1回に何分、歯を磨いていますか?」という質問をすると、多くの人が「3分磨いています!」とおっしゃいます。子供のころ、幼稚園、小学校での、歯磨き教室で「1回3分、一日3回磨きましょう!」と教わったことをしっかり覚えているのでしょう。
しかし、診療室で歯を磨いてもらうと、1分ぐらいで終了という方も多いのです。3分は短いようで長い時間です。洗面台の前で3分間立ったまま、歯を磨くことはかなり忍耐を要することでしょう。手はだるいし、口を開けているのも疲れてきます。お行儀は悪いかもしれませんが、リビングで座りながら磨きはいかがでしょうか?
1回最低5分以上は磨きましょう!
大人の28本の歯を1本ずつしっかり磨き上げるのは、少なくとも10~15分はかかります。3分では、きれいにプラークを落としきることは、眼にも止まらぬ高速ブラッシングをしない限り不可能です。3分間磨いているという方は、あとほんの少し時間を費やして、丁寧に磨いてください。5分間 洗面台の前でのブラッシングは疲れるなあと思われる方は、お風呂で湯船につかりながら、リビングでテレビを磨きながら(お行儀がわるいでしょうか?)など、「ながら磨き」を、お勧めします。
1日何回磨きますか?
「朝、昼、晩3回」「朝晩2回」「1日1回」とさまざまな答えがありますが、回数は確かに大事です。朝食後、昼食後、間食、夕食後、お口の中には、様々な食物、飲み物が入ってきます。食べかすを歯磨きによって、減らすことは口の中の細菌数を減らすために必要なことです。但し、3回磨いていても、1回あたりの時間が1分~3分では、汚れは落とすことはできません。
大事なことは、いかに「効率よく丁寧に汚れを落とすか」です。
24時間でプラークは歯石に変化
歯と歯肉(歯茎)の際に、汚れを残しておくと、4~8時間でプラーク(細菌の塊)が生成されます。このプラークを放置すると24時間で歯石になると言われています。
この論理から考えると、24時間以内に、歯の汚れを毎回きれいに取り除くことが重要になります。1日に何回も歯を磨くことができない、邪魔くさいという方は、1日1回、10~15分は歯磨きを心がけてください。「1回15分!」「長すぎる!」「無理です!」という思われるでしょう。最初の1週間は、洗面所の鏡の前で上下左右、前歯から奥歯、表側、裏側、全ての部分に歯ブラシが当たっている感覚を覚えるように、ブラッシングの仕方を習慣づけてください。慣れてくると「テレビを見ながら磨き」、「雑誌を見ながら磨き」、「お風呂に入りながら磨き」ができるようになります。磨く時間帯は就寝前、ブッラシング後は、お水、お茶以外に口に入れないことを守ってください。プラーク生成は、口の中の状況に変化がない睡眠中が一番活発になるからです。就寝前に、お口の中のプラーク、細菌数を減らしておくことが、大切になります。
1日に2回歯磨きするならいつ?
朝食後、外出する前と就寝前をお勧めします。起きてすぐに歯を磨かないと、夜に繁殖した細菌が心配という方もおられると思いますが、就寝前にしっかり磨いていれば、朝起きた時に、口の中のネバネバ感は感じないと思います。
1日3回磨く方もおられますが、どの回も完璧を目指そうとしないでください。磨きすぎは、歯が削れてしまうこともあります。就寝前は、丁寧に10~15分、あとの2回は5分ぐらいでいいのではと考えます。
「しっかり磨いているのに、どうして歯石がついているのですか?」と質問されることが多いのですが、やはり歯磨きの癖、磨き残し、同じところばかり磨いているという場合が大半です。
理想は就寝前に15分歯磨きを!
1日に一回しか歯磨きをしない方も、三回磨く方も、大事なことは1回15分就寝前に歯を磨きをすることです。衛生士さんが、以前にコラムで書いていましたが、小道具のデンタルフロス、歯間ブラシも駆使しながら、歯磨きをすれば、15分はかかります。最初は3日一回、2日に一回でも構いません。歯磨き後のツルツルの歯の感触が気持ちよいと感じられるようになったら、必ず毎日の習慣になります。
毎日の地道な努力は、将来的な歯の健康に繋がるのです。歯磨きでわからないことは、何でも診療室でご質問ください。
富永歯科クリニック院長 富永 佳代子