こんにちは。大阪市福島区の歯医者　富永歯科クリニック　院長　富永佳代子です。歯周病と切り離せない疾患に糖尿病があります。以前にも、何度かコラムで歯周病との関係をお話してきました。糖尿病のコントロールには、日々の行動様式が大事になります。食事療法と運動療法　この二つが重要となります。しかし、頭ではわかっていても、いざ行動変容となると、、、取り組めない、持続できないという難しさがありますね。今回は、食事療法を中心に、正しい知識とメカニズムについてお話していきます。

糖尿病は一度診断を受けると「治る病気」ではなく「コントロールする病気」と言われています。血糖値が高くなると、全身の血管や神経にダメージを与え、様々な合併症につながります。血糖値、血圧、脂質の良好なコントロール状態を保つため、毎日の食事、運動療法が重要です。「何をどれだけ食べるか？」ではなく、「どのように、いつ食べる？」が重要です。決して「好きなものが食べられない」というマイナス思考にならないようにしましょう。

血糖値が高いとは？

血糖とは、血液中にあるブドウ糖のことで、血糖値は血液中のブドウ糖の量のことです。ブドウ糖は、「体のエンジンを動かすガソリン」とお考え下さい。健康な人の体内では、膵臓からでる血糖を下げるホルモン＝インスリンが出て、血糖量を調整します。しかし、糖尿病の人では、血糖値の高い状態が続きます。これは、インスリンの分泌が低下し、効きが悪くなることで起こります。血糖値が高い状況が続くと、毎日の食事で血糖値が急激に上昇し、血管を傷つけ、様々な合併症を引き起こします。

規則正しい食事を

食後（2時間まで）の血糖値が急上昇し（食後高血糖）、またすぐに元に戻ることを「血糖値スパイク」と言います。この激しい血糖値の変動で、食後に集中力が下がったり、強い眠気を感じることがあります。この血糖値スパイクを繰り返していると、2型糖尿病になるリスクが高まり、動脈硬化の進行が早まると言われています。朝食抜き、昼食のドカ食い、など不規則な食事は、血糖値スパイクを引き起こすので、忙しい日々でも3食きちんと食べることをお勧めします。

夜遅くの食事を見直しましょう

朝食、昼食抜きや21時以降の夕食（ため食い）をしていないでしょうか？欠食すると総エネルギー量は減りますが、次の食事で食後血糖値が、著しく上昇します。欠食して空腹状態が続くと、血中の遊離脂肪酸が上昇し、インスリンの効きが悪くなります。また、遅い時間に夕食を摂ると血糖値が上昇するのは、食べ過ぎてしまうのも原因の一つです。夜遅くの食事は、肥満、糖尿病、高血圧、心臓血管疾患、うつなどの様々な疾患リスク上昇と関係していると言われています。

食べる内容を工夫しましょう

仕事上、夜遅くの食事がやむを得ない方もおられることでしょう。食事内容を工夫してみませんか？揚げ物、炒め物よりも、煮物、蒸し物を選ぶと、胃腸への負担が減り、消化不良を防ぎます。良く噛んで食べることは、食べ過ぎ予防だけでなく、胃の働きを助け、胃もたれを防ぎます。
間食は、何となく食べていませんか？時間だから食べていませんか？適正量の範囲内で食べ過ぎに注意しましょう。大好物をあきらめるのではなく、週に1，2回とルールを決めて楽しみましょう。

食べる順番を工夫しましょう

仕事が忙しいからと、早食いしていませんか？早食いをすると、食後高血糖が現れ、インスリンの分泌が間に合わなくなります。また、食事をゆっくりと良く噛んで食べることにより、満腹中枢が刺激され、食べ過ぎ予防になります。糖尿病食事療法では、噛み応えのある野菜などの食物繊維を豊富に取り入れるのは、血糖値の上昇を緩やかにするためなのです。そのために、食べる順番を工夫しましょう。野菜から食事をとることにより、血糖値の上昇が緩やかになることはわかっています。まず、野菜を5分間かけて食べ、次にたんぱく質のおかず（肉、魚、大豆など）を5分間かけて食べます。そして最後に、炭水化物（ご飯、パン、麺類など）と残りのおかずを一緒に5分間かけてゆっくりと咬んで食べてみましょう。野菜の食べ始めから炭水化物を食べるまでに10分以上の時間差があることが重要です。

日々の食事を工夫することで、糖尿病予防、悪化防止に繋がります。習慣づくまでには、努力が必要ですが、一度身についたら持続することは、難しくないと思います。楽しい食生活に持続のために、できることから見直してみませんか？

富永歯科クリニック　院長　富永佳代子