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糖尿病があるときに、インプラントは出来ない時があるといわれるのはなぜ?

2024年1月7日

こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック副院長赤野弘明です。今回は、糖尿病とインプラントオペとの関連性についてお話します。

糖尿病とは?

糖尿病は、インスリンの作用不足により高血糖が慢性的に続く病気です。網膜症・腎症・神経障害の三大合併症をしばしば伴います。 インスリンというホルモンの不足や作用低下が原因で、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下してしまうため、高血糖が慢性的に続く病気です。しかも40歳以上の4人に1人が罹患していると言われています。

糖尿病の進行度は、空腹時血糖値、随時血糖値、HbA1cの数値を総合的に見て判断されます。
HbA1cとは、赤血球中のヘモグロビンという色素のうちどれくらいの割合が糖と結合しているかを示す検査値です。空腹時血糖値が100mg/dlを超えているなら、できるだけ早く随時血糖値とHbA1cも計測した方がよいです。

特にインプラント治療においてはHbA1cの数値が重要となります。6.0%~6.4%は糖尿病予備軍とされ、6.5%~は糖尿病の可能性が高くなります。
初期症状には手足のしびれや痛み、頻尿、多汗、喉が渇く、EDなどの症状があります。
初期症状の次には、深刻な合併症が起こります。
血糖値の1~2ヵ月の平均であるHbA1cが7.0%を超えていて、対策を行っていないとすると、合併症を発症するリスクが確実に高まります。合併症には糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症があります。

糖尿病と歯科治療

糖尿病とは血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上がる病気で、数年間続くと全身の血管を障害して合併症をひきおこす可能性が高くなります。つまり、血管の劣化を引き起こす病気です。
血管に障害が生じると血液の供給が十分に起こらないため、骨や歯肉を作るために必要な栄養や酸素の供給が十分に行われなくなります。また感染抵抗性も落ちてしまします。そのため、術後に感染が生じやすいリスクがあります。さらに新しい骨や歯肉を作るための細胞が供給されなくなります。具体的には、歯周病になりやすくまた、進行しやすくなります。抜歯処置では、治りがとても悪くなります。

糖尿病とインプラント治療

インプラント治療では、感染しやすい状況にあったり、骨とくっ付かない(骨統合しない)というリスクが非常に高くなります。特に長期に渡ってHbA1cが7.0%を超えている人は、インプラント治療を行うかを検討する必要があると思います。従って、インプラント治療を安心して受けるためにもHbA1cを6.5%以下にコントロールしておく必要があります。健常人でも術後の創部の衛生管理は必要となりますが、糖尿病のリスクがある方は、特に術後感染に気をつける必要があります。処方された抗生剤は必ず指示通りにのみ、術後の創部の衛生管理は充分に行うようにしてください。
体の反応は個人個人異なる場合もあるので、抜歯を行う必要がある場合には、まずは抜歯が正常に治癒するかを見てから検討してもよいのではないでしょうか。
糖尿病はインプラント歯周病治療においてだけ重要なのではなく、血管に対して障害を引き起こす疾患です。感染に対して弱点をもっているため、あらゆる疾患に対して負のリスクを持っています。
もちろんケガをした時にも感染しやすかったり、傷の治りが悪かったりする可能性があり、他の疾患などで手術を行う場合にも常にこのようなリスクを伴うのです。
糖尿病を管理する事は、全身を健康に保つためにとても重要な事だと考えられます。
もし、糖尿病の可能性がある場合、インプラント治療が可能かどうかについては、担当の歯科医師の先生とよく相談して行ってください。

富永歯科クリニック 副院長 赤野 弘明

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