こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長富永佳代子です。今回から、診療室でよく質問される内容について、お話していきます。今回は歯の色について。
にっこり笑った時に、お口元から見える真っ白な歯。テレビで見る芸能人は、輝くような白い歯をしていますよね。鏡で自分の歯を見ると、何だか黄ばんで暗い色をしているのでは?とがっかりすることはありませんか?
どうして歯が黄ばむのでしょうか?
自然な歯は、真っ白ではなく、やや黄味がかっているものです。以前にコラムでお話したように、歯は三層に構成されています。厚さ1~2ミリのエナメル質、その下に象牙質、その中に神経や血管が通る歯髄があります。エナメル質は半透明であるため、内部の象牙質が透けてみえてしまいます。この象牙質の色が薄い黄色であるため、真っ白には見えないのです。
①加齢による変化
加齢により、「エナメル質が薄くなる」「象牙質がより黄色く変化する」「エナメル質の内部に、唾液中のカルシウムやリンなどが堆積し象牙質が透けやすい構造になる」というような変化が起きて、より黄色く見えるようになります。この場合は、いわゆるホワイトニングと呼ばれる、ある種の薬液とマウスピースを使用して全体的に歯を白くする方法を選択します。
②食べ物、飲み物による黄ばみ、タバコのヤニ
飲食物のカスやたばこのヤニが、歯の表面に付着することにより、歯が黄ばみます。特に色素の強い飲食物には注意が必要です。代表的なものは、コーヒーや紅茶、ウーロン茶、赤ワインやカレーなどです。
例えるなら、陶器のカップに茶渋が付くように、歯の表面にコーヒー、紅茶の茶渋がつきます。衣服に赤ワインやカレーをこぼしてしまうと、洗濯してもシミが取れにくいのと同様に、歯にも着色が付きやすい傾向にあります。
だからと言って、好きなのを食べるのを避けなくても構いません。歯の表面についた直後の汚れは落ちやすく、食後に歯磨き、うがいをすることを心がけてください。また、歯には目に見えないヒビや傷が経年的にできているので、その部分に茶渋やたばこのヤニが入りやすくなり、いったん入ると、日々の歯ブラシによる歯磨きでは、取れないことがあります。
汚れ除去の方法としては、市販の歯磨き粉でもある程度汚れが取れますが、歯のヒビや傷に入った汚れまでは取り除くことはできません。研磨剤の入った歯磨剤を使用して、やみくもにゴシゴシ磨いていると、歯の表面が削れてしまい、知覚過敏症状が発生して苦痛を感じることになります。やはり、歯医者さんで歯のクリーニングをして、器械で汚れを取り、茶渋やタバコのヤニ汚れを取る薬を使い、歯を磨き上げる方法をお勧めします。
③詰め物の変色
前歯に白い詰め物(レジン)が詰めてあると、歯に比較して経年劣化による変色や表面の傷への色素沈着があり、ご自分の歯より、際立って黄ばんで見えてしまいます。この変色を虫歯かな?と思って来院されることがしばしばあります。あまりにも見た目が悪い場合には、詰め物だけを削り取り、新しい詰め物に詰め替えるときれいになります。
④幼少時の特定の抗菌薬や神経の治療
幼少時に特定の抗菌薬(テトラサイクリン系)を服用したことにより、歯が褐色に変化することがあります。また、事故や打撲により歯の神経が壊死したり、虫歯の治療による神経の除去で変色が起こることもあります。この場合は、治療方法は、歯を薬液で漂白したり、被せ物を歯に被せる方法などがあります。(治療方法によっては、保険診療、自費診療になることがあります。)
以上のように、歯の黄ばみや変色は、生理的なもの、加齢によるもの、病的なものなど、原因が様々なため、気になる場合は歯医者さんで相談することをお勧めします。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子