こんにちは。大阪市福島区の歯医者「富永歯科クリニック」 院長 富永佳代子です。今回は、食の大切さについてお話します。
生きるということにおいて、最も大事なことは何でしょうか?
それは、「食べる」ことに違いないでしょう。「おぎゃあ!」と生まれてきた赤ちゃんが、最初にすることは、お母さんのおっぱいからお乳を飲むことです。教えられたわけでもないのに、赤ちゃんをお母さんの胸元に寄せていくと、一生懸命口の筋肉を動かしてお乳を吸おうとします。赤ちゃんは、自分の手をなめたり、おもちゃを舌でなめて、それが何であるかを確かめます。まだ手の感覚が鈍く、ハイハイや歩くことができない赤ちゃんでも、口の感覚は鋭いのです。それは「食べる」という生きていくうえで最も大事な行動に繋がっているのだと、考えられます。
味覚、嗅覚、触覚などの感覚を日々発達させて成長していくのです。口による栄養の摂取は、生まれてから命が途絶えるまで、一生続く最も大事なことです。そして、「食べる」ことに最も大事な臓器は、「歯」です。それ以外にも 歯には様々な働きがあります。「発音」「顔の表情を作る」「全身の姿勢を保つ」「脳への刺激」などです。
1歳から歯が生え始め、3歳で乳歯が生えそろい、6歳ごろから大人の歯に生え変わり、13~15歳で大人の歯が完成します。日本人の平均寿命80歳代 最近では人生100年時代まで、ご自分の歯を大事にしていく必要があります。
子供さんの食育に関して
歯を大事にすることは、幼少期から始まります。分別のない幼少期に歯を大事にするには、どうしても保護者の助けが必要になります。幼少期から、柔らかいものばかり食べていると、顔の骨格、筋肉の発達に支障をきたし、歯並びが悪くなり、虫歯ができやすくなります。また、甘いものや塩分の強いスナック菓子、糖分の多いジュース、清涼飲料水などを摂取しすぎると、虫歯ができやすく、味の感知も鈍感になります。
味覚には、「甘味」「辛味」「酸味」「苦味」そして、日本人にのみ感知できる「うま味」があります。
日本人特有の味覚「おだしの味」つまり「うま味成分」が分からなくなり、味の濃いものを好むようになると考えます。
塩分過多、糖分過多の食事は生活習慣病である高血圧、糖尿病、腎疾患などを引き起こす可能性があります。現代の日本の食生活は、西洋化しており、お肉中心の食事に代わってきました。そのため、日本人の死亡原因第一位は「悪性新生物 がん」になりました。
西洋化した食生活が悪いとは思いません。明治時代には西洋人に比較して低身長、体力も低かった日本人が、今では様々なスポーツ分野で活躍して、世界チャンピオンが誕生して誉れ高く、うれしく思います。
しかし、日本の昔からの素朴な食生活も大事にしてほしいのです。
「まごわやさしい」
ま 豆 植物性タンパク質 食物繊維
ご ごま ナッツなど タンパク質 ミネラル 脂質 噛む力
わ わかめ 海藻 昆布 おだしの味 ミネラル
や 野菜 ビタミン ミネラル
さ 魚 良質なタンパク質
し しいたけ キノコ類 食物繊維 ミネラル ビタミン
い いも 食物繊維 炭水化物
是非とも、お買い物をする時、献立、おやつを考えるときに、このスローガンを思い出してください。丈夫な歯、体を作ることは、将来的に病気になりにくい、健康な体を作ることになります。健康であることは、病気になりにくい身体を作ることに繋がります。そして、壮年期以降の医療費の支出に関わってきます。
日本は、健康保険制度が充実して、安価に良質な医療を受けることができますが、高齢者の人口増と共に健康保険制度が破綻する可能性もあります。アメリカのように、高額な自費診療、個人で高額な保険料を支払うことになるかもしれません。
健康で、病気になりにくい身体を作ることが、人生100年時代に、楽しい食生活に繋がることになることでしょう。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子