こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長 富永 佳代子です。
今回は 根っこの治療 根管治療についてお話します。根管治療は、患者さんにとって、一番何をしているかわかりにくい治療ではないでしょうか?
「歯の中を、何かでぐりぐり触られている。」「回数がかかる割に、治っているのかわからない。」「お口を長く開けるのが疲れる」「痛かった」など、ネガティブなイメージがあるような気がします。
根管治療が必要な症状とは?
冷たいもの、熱いもので歯が痛いのを我慢していると、虫歯が進行して神経まで進んでしまいます。そして、激し痛みを伴い、「噛めない」「歯を合わせると浮いた感じがする」「痛くて眠れない」など、痛みとの闘いになり、歯医者さんに飛び込んでくることになります。虫歯は細菌感染なので、神経に細菌が入ると、神経は死んでしまいます。神経のある部屋には、血管もあるので、細菌感染を起こすと炎症反応が起こり、充血が起こり、ドクドクと小さな心臓があるような拍動痛(はくどうつう)が起こり、痛み止めを飲まないと日常生活が困難になり、夜も眠れなくなります。このような症状で、歯医者に駆け込んでくると、痛みからの解放のために、「神経を取る」処置を行うことになります。
治療ステップ
①根管内の感染部分の除去
麻酔をして、虫歯の部分をすべて取り除き、神経のある部屋に到達したら、「神経」「血管」「細菌感染をした歯質(ししつ)」を取り除きます。痛みがひどいと、麻酔の効きが悪いこともあります。その場合は、可能な限り虫歯の部分を取り除き、鎮痛剤をおいて、仮止めをして鎮静させ、次回に麻酔をして、神経を取り除く処置を行います。この時に使う道具は、待ち針のような小さなねじ切りのある器具で、神経の管を触っていきます。根管の長さを測定するために、お口にクリップをつけて、メーターで測定をし、レントゲン撮影をして根管の形、長さを確認します。
②洗浄消毒
根管の中の神経、歯質の細かいかすを取り除くために、細いシリンジ(注射器)で消毒薬を根管内に入れて洗浄消毒します。
③仮詰め(仮封)
根管内を清潔にしたら、アルカリ性の軟膏を挿入して、仮止めをします。根管の先まで触って、神経、血管を取り除いているので、先端にかさぶたのようなものができて治るまで、時間を要します。治癒を待つ必要があるため、仮止めが必要になります。この時点で、痛みから解放されているため、「治った」「痛くない」「治療が終わった」「行きたくないから、治療の先延ばし」をするのは絶対にやめてください。仮止めは、あくまでも仮のふたなので、徐々にすり減ってきて、また穴が開くと、唾液や食べかすが入り、再感染してしまいます。
④根管充填(こんかんじゅうてん)
数回消毒をして、痛みもなく根管内が清潔になったら、ガッタパーチャという根管内に充填するゴムのお薬を詰めます。この処置は、緊密に充填して、新たに外から細菌が入りこむのを防ぐ目的です。そしてお薬が固まるのを待つために、再度仮止めをしておきます。もう少しで治療終了です。ここで治療を中止しないで、頑張って治療に通ってください。
⑤被せ物を作製 治療終了
歯に金属や樹脂で土台を作製して、歯を補強して形を整え、型を取って、被せ物を作製してセメントで合着して、治療終了です。
根管治療の難しさ
神経の本数は1~4本あり、本数が多いと治療時間がかかります。また単純にまっすぐな管ではなく網目状になっているため、神経を除去することに限界があります。すべての細い神経の管の汚れを取ることは不可能であり、いかに感染をさせないで、緊密に充填するかが大事になります。
根管治療は、とても小さな管を触る治療であり、見えないトンネルをきれいに掃除していくような感覚です。そのため、手の感覚や経験が大事になります。心がけるのは、唾液の侵入を防ぎ、清潔状態で治療を迅速に少ない回数で行うことです。つまり、「次回の予約を先延ばしにする」「途中で中止する」ことは避けてほしいのです。
そして、できる限り、虫歯は早期発見早期治療!神経の部屋まで進行する前に治療することをお勧めします。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子