こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長 富永佳代子です
昭和の時代は、子供の虫歯はとても多くて、学校検診後、歯医者さんに通院することが当たり前の時代でした。平成、令和の時代になって、子供の虫歯は減少傾向です。これは、歯磨きの普及、食生活の改善、親御さんの努力によるものだと思います。親御さんにとって、子供が虫歯で痛い思いをしないように、幼少期から食生活に気を使い、仕上げ磨きを頑張った証ですね。
親御さんご自身は?
わが子は、虫歯にならないように、痛い思いをさせないように日々心を掛けていることと思います。離乳食に気を使い、歯が生えてきたら仕上げ磨き、育児に、家事に忙しいお母さん、仕事が忙しいお父さん。ついつい、ご自分のことは後回しになってしまう方が多いのではないでしょうか?
お子さん思いの親御さんにお伝えしたいのは、「親御さんの口腔内環境が、お子さんの口腔環境に影響する」ことです。以前より申し上げているように、虫歯、歯周病は細菌感染です。つまり、親御さんに虫歯、歯周病があると、お子さんに感染するリスクが上がるのです。
虫歯になる時期は?
虫歯菌が感染するのは、乳歯が生えた頃から3歳弱ぐらいまでの間です。この時期は、近しい方から虫歯菌をもらいやすく、定着してしまいます。原因は、口移しで食べさせる、お箸、スプーンの共有、コップの共有などです。ご自分のかじったパン、お菓子などを食べさせないようにするなど、気を付けていると思いますが、相手は目に見えない細菌です。細菌感染のリスクを避けるために、親御さんのお口の中の細菌量を減らす必要があります。
長い臨床経験から思うことは、将来的にお子さんが高齢になった時、現在高齢になっているお母さんのお口の中の状態に似る傾向にあるということです。これは、遺伝的な問題ということでなく、現在の生活環境も関係するためです。たくさん歯の治療をなさっている親御さんなら、子供もたくさん虫歯ができる傾向にあります。
お母さんが入れ歯になっていると、お子さんも将来的に入れ歯になる可能性が高いと感じます。つまり虫歯菌が多いご家庭、歯周病菌が多いご家庭、全員が虫歯にも歯周病にもかからず、しっかりご自分の歯で噛んでいるご家庭に分かれる傾向があるように感じます。これは、細菌感染のせいだけでなく、食生活の内容、歯磨き習慣、定期的な歯科受診に関係します。お口の中の細菌を0にすることは不可能ですが、家族全員で細菌数を少なくすることは可能です。
食生活の改善
子供の虫歯の原因は、「甘いものを食べる、飲むこと」砂糖の主成分であるショ糖が原因です。しかし、お子さんには甘いものを食べさせないように気を付けていても、周りのご家族がおいしそうに食べていては、お子さんも欲しがるのは当然です。できる限り、甘いものの味を覚えるのを遅くして、生えてきた歯を丈夫にして、虫歯菌に対抗できる強い歯になるまで、虫歯菌の侵入を防ぐように家族ぐるみで一致団結して頑張ってほしいのです。
乳幼児時期は、親御さんの目の届くところにいて、食生活のコントロールもしやすいですが、保育所、幼稚園、小学校、中学校と自分を取り巻く社会が広がっていくにつれ、親の監視下にはおけないものです。食生活もどんどん広がり、子供自身で選択して食べることになります。甘い食べ物、飲み物から遠ざけることはできないので、幼少期から口腔内細菌の数を少なくし、定期的にフッ素塗布、歯磨き指導で、日常生活習慣を改善していき、強い歯を作るようにしてください。
家族全員で歯科受診
長期に歯医者さんに行っていないお父さん、歯医者さんが怖いと思っているお母さんも、お子さんとご一緒に最低1年に一回、できれば、半年に1回は歯医者さんを受診して、虫歯チェック、歯周病チェック、歯磨き指導を受けてください。そして、もし虫歯があれば治療、歯石が沈着していて歯周病にかかっているのであれば、歯周治療を受けて、お子さんへの細菌感染をブロック、将来的に自分の歯でずっと食べれる幸福(口福)な人生を送ってください。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子