こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長 富永佳代子です。30~50代の方から、矯正をしたいとのご相談が多くあります。私は、矯正専門医ではないので、一般的なお話しかできないのですが、最近の歯の矯正の治療方法を簡単にご紹介させていただきます。
大人の歯並びをきれいにできるの?
以前からある矯正治療は、ワイヤー矯正が一般的でした。歯の表側、裏側に金属やセラミックのボタンのようなもの(ブラケット)を接着させて、そこに金属のワイヤーを通して歯の位置を変えていく方法です。数年前より、患者さん自身で取り外し可能で、目だちにくいマウスピース型矯正装置が普及してきました。検査をして、的確に使用すればメリットが多いと言えます。しかし、ニュースになったこともあるのですが、低価格、短期間、通院回数が少ない、などと紹介され、安易に治療方針として選択するのは、リスクが伴うことも知っておく必要があります。歯の矯正治療は、決して短期間、低コストでできるものではないのです。短期間で終えようとすると、理想的な歯並びや噛み合わせがえられないこともあり、それが、お口や体の健康に影響を及ぼすことになる可能性もあります。
マウスピース型矯正装置とは?
マウスピース型矯正装置は、プラスチックでできたマウスピースを一日のうちの長時間装着することで、歯を移動させる方法を用いています。
その利点は、透明なマウスピースであるので、目立ちにくい。食事や歯磨き時に取り外しができるので、食事がしやすく衛生的、楽器の演奏時に外すことが可能。歯の内側にワイヤーを通す矯正装置に比較して会話しやすい。金属アレルギーの方に対応できる。治療計画において、シミュレーションが可能で予測しやすい。などがあります。
欠点として、全く見えないわけではない。お口の状況により適応にならない。マウスピース装着時に歯の移動に伴う痛みを生じる。装着時間が長時間可能であるかどうか、本人にゆだねられ、長時間の装着困難な場合、矯正期間が長くなる可能性がある。指示通りにマウスピースを装着しないと歯が適正に移動しないリスクを伴う。などがあります。
ワイヤー型矯正(表にブラケットを装着する場合)
利点は、多くの症例で対応可能である。固定式なので、常に矯正力がかり、歯の表側に力がかかることにより確実に歯を移動させることが可能。内側にワイヤーを装着する場合に比較して、発音しやすい。
欠点は、装置が目立つ。固定式で歯にプラークが付きやすいため、念入りに歯磨きが必要。ワイヤー調整後、歯の移動に伴い痛みが生じる。装置を付けるため、お口に違和感がある。口内炎ができやすい。などがあります。
ワイヤー型矯正(歯の裏側にブラケットを装着する場合)
利点は、歯の裏側に装置を装着するため、見えないので矯正治療をしていることが分かりにくい。固定式なので、常に矯正力がかり、歯の表側に力がかかることにより確実に歯を移動させることが可能。
欠点は、歯磨きがしずらく、プラークが付きやすいため、歯の裏側を念入りに磨くが必要がある。ワイヤー調整後、歯の移動に伴い痛みが生じる。裏側に装置を付けるため、舌に違和感がある。などがあります。
以上のことを読んでみると、どの方法を採用しても、それぞれ利点欠点があることが御理解できると思います。矯正治療は、安易にすると理想的な結果がでないこともあります。歯磨きを怠らない、定期的な通院、歯の痛みに理解、マウスピース型であれば長時間の装着などご本人の努力が必要になります。2年から3年の長期間かかることもあり、矯正治療を開始する前に、しっかりとご理解いただきたいと考えます。
次回は、具体的な治療の流れをお話します。
富永歯科クリニック 院長 富永 佳代子