こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長 富永佳代子です。前回に引き続き、口臭に関してお話をします。
⑧ 舌苔
以前にも 舌の病気のコラムでお話ししましが、毎日歯をしっかり磨く方でも、舌のお掃除は、案外忘れています。舌の汚れ=舌苔は、口臭の大きな要因となります。
舌苔は 読んで字のごとく舌の表面を苔のように覆っている汚れです。ご自分の舌を鏡で見てください。表面に小さなポツポツとした突起が無数にあります。このポツポツは「舌乳頭」と言います。この突起に新陳代謝ではがれた粘膜の細胞や細菌が引っ付いてねっとりしたものが舌苔です。
健康な舌の表面には、無数の白い小さな点(糸状乳頭)と大きな赤い点(茸状乳頭)が見えます。舌苔がついていないのに、ブラシでゴシゴシ舌をこすり過ぎると、傷ついて出血して、口臭の原因になったり、味覚が鈍感になるので、やり過ぎは禁物です。舌に白い点が見えるなら、舌苔はできていないと判断してください。
⑨舌苔のお手入れ方法
舌ブラシ(歯科医院取扱い)を使用することをお勧めします。これは、柔らかめのブラシで力を入れなくても、舌の後ろから前に動かすことにより、汚れを除去できます。前から後ろに動かすと、汚れが喉の奥に入ってしまうので、禁物です。1~2回こすったら、お口をすすいで、汚れを吐き出してください。舌の状態を見ながら、舌苔が取れたら完了です。磨きすぎには、注意です。普通の歯ブラシ使用でも構いませんが、硬い毛先のブラシは、傷ができるので使用しないでください。
⑩洗口液
殺菌作用の作用のある洗口液は、口臭予防に効果的です。ドラッグストアで各種購入できます。使用時は、必ず歯磨きを終えてからです。プラーク(細菌の塊)を除去してから、お口の中がきれいになった状態で使用して、歯や舌の表面に使用することで、効果が得られます。
洗口液には殺菌作用以外にも、臭い原因物質を吸着する銅イオンや亜鉛イオンが含まれるものもあります。使用説明にある量、ブクブクする時間を必ず守って下さい。効果が半減します。
但し、歯磨き時に、フッ素濃度の高い歯磨き粉を使用した後すぐのブクブクうがいは、フッ素を流してしまうのでお勧めしません。歯医者さんや歯科衛生士さんに、ご相談ください。
⑪その他の原因
矯正治療中の方は、お口の中に小さな装置、器具、ワイヤー、ゴムなどがついています。細かな器具にプラークがついていると口臭の原因になります。ブラッシング方法は難しいので、必ず歯科衛生士さんの指導が必要です。ご相談ください。
口臭は、心理的要因も関係します。例えば、極度の緊張状態では、お口の中も乾きます。他人との距離で「私のお口、臭ってないかな?」と心配になると、緊張状態になり唾液量、性質が変化して、口臭が強まることもあります。
⑫歯医者さんでトータルケアを!
以上、口臭原因をお読みになられて、御理解されたと思いますが、不快な病的口臭を防ぐためには、ご自分の力だけでは不可能です。
歯周病、虫歯は治療しない限り解消しません。病的口臭の原因を除去しない限り、臭いは残ります。ブレスケア製品(うがい薬、タブレット、ガム)でごまかしても、付け焼刃でしかありません。
初期の歯周病は、ご自分では気づきにくく、進行します。歯磨きをすると歯茎から出血する方は危険信号です。そして、私の歯磨きの仕方は完璧!と思っていても、案外磨き残しはあります。
ぜひ、定期的に歯医者さんに通院して、お口の中のチェック、虫歯、歯周病の治療、歯磨き指導、舌苔の磨き方、ご自分にあった適切な道具のセレクトをしてください。
お口は、一生食事をする、お話しすると機能になくてはならない臓器です。お口の健康が、体の健康に繋がります。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子