こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニックの歯科衛生士西村文夏です。前回はドライマウスの症状、原因などについてお話ししました。今回はそのドライマウスを改善させるためにどんなアプローチをすればよいのかについてお話しさせていただきます。
生活習慣や食生活
前回の記事でもお伝えしたように、糖尿病の初期症状や高血圧の薬剤服用で、口の渇きが気になってきますので、生活習慣病への対策もドライマウス予防や改善へのアプローチとなってきます。特に、ドライマウス対策というと水分の多い食事ややわらかい食事を選択すると良いとおもわれがちですが、そうするとかえって噛む回数が減ってしまい咀嚼機能低下や唾液分泌量減少に影響がでるので注意が必要です。噛みごたえがあるものを取り入れるなどして、食べ物をよく噛むように心がけましょう。目安は1口に20〜30回噛むと良いと言われています。よく噛むことは、血糖値の急な上昇を抑え、食べ過ぎを防ぐ働きもあるのでとても大切です。
水分補給
高齢になるほど体内の水分量が減少するため、まずはよく水分を摂ることを心がけましょう。ただ、水分の摂りすぎで胃腸の調子が悪くなったり、お腹がいっぱいになってしまって満足に食事ができなくなるなどの理由でなかなか摂取できない方は、こまめなうがいでお口の中を潤すだけでも有効なアプローチになります。
洗口液や歯磨剤
お口がスッキリする感覚を得られるため市販の洗口液を使用している方も多いですが、ストレートタイプの洗口液には20%近い濃度のアルコールが含有されているものも多く見受けられます。アルコール成分は口腔粘膜への刺激が強いほか、乾燥を助長してしまう働きがあるので注意が必要です。また、多くの歯磨き粉に含まれる発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)は、口腔粘膜を保護する唾液中の成分である”ムチン“を破壊し、ドライマウスを助長するといわれていますので、お口の乾燥が気になる方は、一度発泡剤無配合の歯磨き粉を使ってみると改善が見られるかもしれません。
唾液腺マッサージ
主となる大きな唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つです。
耳下腺のマッサージは、指全体で耳の前と上の奥歯のあたりをおさえ、後ろから前にぐるぐると円を書くように動かしましょう。
顎下腺のマッサージは親指を顎の骨の内側のやわらかい部分に当て、5カ所ほどを順番に押しましょう。
舌下腺のマッサージは両手の親指を揃え、顎の下からグッと押すイメージで動かしましょう。
文章ではなかなかイメージがわきにくいかとおもいますので、気になる方はぜひかかりつけの医院などで聞いてみてください。
口腔保湿剤
まずは上記の項目を試してみて、それでもあまり改善が見られない場合は口腔保湿剤を使用してみるのも1つです。一言に口腔保湿剤といっても種類はいくつかありますので、それぞれの特徴をご紹介します。
スプレータイプ
[メリット]手軽であり、スプレー状のため広範囲に保湿効果を与えることができる。
[注意点]粒子が細かくすばやく喉に入ってしまうことがあるため、むせや誤嚥に注意が必要。持続時間は短めである。
リキッドタイプ
[メリット]広範囲(うがい)でも限局的な塗布でも使用が可能。口腔内に入れてからの操作性がよく凹凸のある歯や歯肉にも密着しやすい。
[注意点]液状であるため、少量ずつ使用しないと、誤嚥や流唾することがある。
ジェルタイプ
[メリット]リキッドタイプと同じように限局的な塗布が可能なだけでなく、より粘性があるので口腔内に留まりやすく、保湿効果が長時間続く。
[注意点]乾燥してくると餅状になる場合もあるので、過剰に使用しないよう注意が必要。
シートタイプ
[メリット]保湿剤が含まれたシートなので、口腔内を清拭しつつ保湿効果を得ることができる。過剰塗布になりづらい。
[注意点]多めに保湿剤を塗布することはできないので、乾燥が激しい方は他の口腔保湿剤と併用する必要があり、単体での長時間の保湿は得にくい。
保湿剤には、様々な味があったり成分も違ったりするので、「何を使えばいいのかわからい」、「現在使用しているものでいいのか?不安」な場合は、ぜひかかりつけの医院や当院にお問い合わせください。
人それぞれ乾燥の原因や乾燥の度合いも違ってきますので、それぞれに合わせたアプローチが必要になります。正しいと思っていることが実は逆効果だった、などということもよくありますので、ぜひ正しい方法でアプローチをしてみましょう。
富永歯科クリニック 歯科衛生士 西村文夏