こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 院長富永佳代子です。前回に引き続き、清涼飲料水、スポーツ飲料の摂取について注意点、体への影響をお話します。
だらだら飲みに注意
スポーツ飲料を飲むときに、一気に飲みますか?それとも、こまめにチョコチョコ飲みをしますか?スポーツ飲料をこまめに飲むと、お口の中がべたついて、さらに飲んでしまいませんか?
スポーツをしている時は、呼吸が激しくなり、お口の中が乾燥して唾液の自浄作用が減少します。唾液は、お口の中を洗い流して、虫歯菌の作る酸や飲食物の酸を中和してくれます。しかし、呼吸の激しい運動時は、口呼吸によってお口の中が乾燥し、唾液が歯の隅々まで行きわたりにくくなっています。特に、クラブ活動を始める小学校高学年から中学生時代は注意が必要です。この時期は、永久歯が生えそろいますが、生えたばかりの永久歯は酸に弱いので、虫歯、酸蝕症になりやすいのです。そして、この年代の子供たちは、保護者の仕上げ磨きを卒業しており、虫歯の発見が遅くなってしまいがちです。
高齢者に関しては、加齢に伴い歯茎が下がり、歯の根面が露出しており、日常的にスポーツ飲料を摂取していると、根面虫歯のリスクが高まります。
身体への影響
糖尿病
ペットボトル症候群という言葉をご存じでしょうか?血糖値が急激に上昇することにより、急性の糖尿病を引き起こします。重度になると意識障害を起こすこともあります。また、日常的に砂糖を多く含んだ飲み物を摂取していると、大人だけでなく子供も糖尿病のリスクが高まります。糖尿病は歯周病の悪化につながり、全身的にも様々な悪影響を及ぼします。
脚気
脚気は、昔の病気と思っていませんか?糖の分解には、ビタミンB1が必要となります。日頃から、ビタミンB1が不足している方が、スポーツ飲料を大量に摂取していると、リスクが高まります。症状としては、倦怠感、食欲不振、手足のしびれ、足のむくみ、重症化すると心不全を起こします。乳幼児の場合は、もともとビタミンB1の摂取量が少ないため、下痢、嘔吐などの病気の時に、イオン飲料水を飲ませ続けていると、要注意です。
ビタミンB1は、玄米、豚肉、ウナギ、枝豆に多く含まれ、吸収をよくする玉ねぎ、ニラ、ネギ、にんにくと一緒に食べると効果的です。
味覚、心への影響
幼少期に甘いものを与えすぎると、味覚形成に障害が起こり、お茶、お水などが飲めなくなったり、偏食傾向になり、体の成長に影響を引き起こすことがわかっています。またビタミンB1の不足に伴い、精神の不安定(きれやすい子供)につながります。
適正な飲み方は?
スポーツ飲料は、激しい運動時の脱水症の防止に効果的です。決して飲んではいけないのではありません。必要なときは、事故防止のために飲みましょう。ただし、日常生活において、少し汗をかいたとき、お風呂上りなどは、不要です。お茶、お水で充分水分補給は可能です。あくまでも、「スポーツ時の飲み物」と考えましょう。喉が渇く前から、こまめにお水やお茶を摂取しましょう。但し、お茶はカフェインを含むので、お子さんは、麦茶、ほうじ茶をお勧めします。歯に茶しぶが付きやすいのですが、歯医者さんで、定期的に歯のクリーニングをしてもらいましょう。
頻繁に飲む必要がある方は、飲んだ後にお水、お茶で口をすすぎましょう。酸が薄まり、虫歯、酸蝕症の予防になります。日頃から、歯医者さんで定期検診を受け、虫歯のチェック、フッ素塗布、を行ってもらいましょう。日常生活では、フッ素濃度の高い歯磨き剤(1450ppm)を使用し、歯の質を強化しましょう。
これから暑くなる季節を迎えます。様々な飲料水がありますが、飲み方に注意して、快適な生活を心がけましょう。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子