こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック衛生士 陣内彩香です。皆さんはお口の役割とは、何かをご存知でしょうか?「食べる」「話す」「呼吸する」などはもちろん「表情をつくる」「味わう」「唾液を分泌する」などの役割があります。お口の中の異常は、ささいな口腔機能の衰えや口腔内乾燥、清掃不良などから始まりますが、そのまま放置すると全身へと悪影響を及ぼすことがあります。お口の機能低下を予防すると、健康寿命延長につながります。また、早い段階から適切な対応をとれば改善になります。そのために定期的に歯科に受診し、お口の状態を把握するとともに、お口に対する意識を高めるのも重要です。
オーラルフレイルとは?
「オーラルフレイル」とは、「お口の機能のささいな衰え」から「全身疾患や心の衰え」につながる悪循環を表す考えです。オーラルフレイルを疑う状態や症状はいくつかあります。「お口が乾く」「匂いが気になる」「薬が飲みづらい」「口腔内環境が悪い」「残存歯が少ない」「顎が弱くて噛めない 「滑舌が悪い、舌が回らない」「食事は柔らかいもの中心で好きなものを食べれない」「よくむせる、口からご飯をこぼす」「食欲がない」などの項目があります。この項目に多く当てはまる方はオーラルフレイルの疑いがあります。このまま放置してしまうと食事や会話、健康状態に影響が及んでしまうので、早めの歯科受診をお勧めします。
口腔機能低下症
オーラルフレイルが疑われる場合、歯科医院では口腔機能の検査を行うことができます。お口の機能が低下していると診断されれば「口腔機能低下症」という病名がつきます。
口腔機能低下症の症状、ご自分で改善できる対策方法をご紹介します。
①口腔衛生状態不良
歯磨きは就寝前を含めた1日2回以上行う。歯間ブラシやフロスなどの補助用具を1日1回以上は使用するといいでしょう。
②口腔乾燥
唾液腺マッサージをしてみませんか。マッサージを行う場所は、耳の付け根あたり、噛み締めたときにぎゅっと膨らむところです。そこに指を押しあてて前に向かってゆっくり円を描くように回します。10回1セットで1日に2〜3回行うといいとされています。
また口腔用ケアジェルなどのお口の保湿剤を使用するのもお勧めです。口腔用ケアジェルには医療部外品と化粧品の2種類があります。医療部外品には抗菌成分が配合されている製品、化粧品には保湿成分が配合されており、お口の潤いを与える製品があります。口腔乾燥がひどい方は化粧品を選ぶとよいでしょ
口腔乾燥を引き起こす薬を服用している副作用として起こることもあります。口腔乾燥を引き起こす可能性がある薬剤として、①利尿剤 ②抗コリン剤 ③抗ヒスタミン剤 ④抗パーキンソン剤 ⑤向精神薬などがあるので当てはまる場合は主治医と相談してみてください。
③咬合力低下
歯応えのあるものを食べるといいでしょう。しかし、歯がたくさん残っていても、虫歯や歯周病を放置しているため、噛む力が低下することもあります。この場合は、歯科治療は必要となります。
④舌口唇運動機能低下
話をする機会を増やす、唇や頬の力を鍛える器具などを活用すると良いでしょう。舌を前後、上下左右に大きく動かし、「あーいーうー」と口を動かして頬の筋肉を動かすトレーニングを行うと効果的です。
⑤低舌圧・咀嚼機能低下
咀嚼する回数を意識的に増やす、咀嚼のトレーニングや食べ方の指導を受けましょう。
⑥嚥下機能低下
飲み込みの力を鍛えるトレーニングを行いましょう。
嚥下おでこ体操
額に手を当てて自身で水平方向に抵抗を加え、おへそを見るように頭、首の曲げ伸ばしを行います。5秒ほどかけて1セット5〜10回、1日3セット行います。
以上、オーラルフレイルについてご紹介をさせていただきました。お口の健康を維持することは、身体の健康を維持することに繋がります。定期的な歯科検診と日常的なお口のセルフケアで、健康で快適な生活をいつまでも続けられるようにしましょう。
富永歯科クリニック 衛生士 陣内彩香