こんにちは。大阪市福島区の歯医者「富永歯科クリニック」 院長 富永佳代子です。今回は、「オーラルフレイル」について、お話しします。
オーラルフレイルとは?
コロナウイルスによる外出自粛が続いています。皆さんが、コロナから身を守るため、家族を守るため、我慢を強いられていることと思います。そして、国民全員が生活習慣の変化を余儀なくされ、特に高齢者に「オーラルフレイル」のリスクが心配されています。
オーラル=Oral=口腔、フレイル=Frailty=虚弱つまり、口の中の機能が弱くなることを意味します。
具体的には、「滑舌の低下」「食べこぼしが多くなる」「飲食時にむせることが多くなる」などの軽い症状から、食べる機能や障害へと進む現象です。これが、体力、筋力の低下を招き、全身のフレイル(虚弱)へ、さらに寝たきりへと繋がるのです。最近、よく食べこぼす、むせることが増えた、硬いものが食べづらい、滑舌が悪くなったという変化に気づいたら、要注意です。
お口の中の機能は低くなっていませんか?
下記のチェック項目で3点以上の「危険性あり」となったら、歯医者さんによる専門的なケアが必要になります。
・半年前に比べて硬いものが食べにくくなった はい2 いいえ0
・お茶や汁物でむせることがある はい2 いいえ0
・義歯を使用している はい2 いいえ0
・口の渇きが気になる はい2 いいえ0
・半年前に比べて外出の機会が減った はい1 いいえ0
・さきイカやたくあんくらいの食べ物が噛めない はい1 いいえ0
・一日に2回以上歯を磨く はい0 いいえ1
・年2回以上は歯科医院を受診する はい0 いいえ1
合計点数
0~2点 オーラルフレイルの危険性は低い
3点 オーラルフレイルの危険性あり
4点以上 オーラルフレイルの危険性が高い
現在の社会状況において、外出回数の減少、人との会話の減少はやむを得ないことです。しかし、オーラルフレイルを防ぐ方法、対策は、コロナ禍でもあるのです。
病気になることを未然に防ぎ、健康で豊かな食生活を楽しむために、少しの努力で改善できるのではないでしょうか?
日々の習慣も見直してみませんか?
「忙しい時に早食いをする」「硬いものをあまり噛まない」「人とほとんど話さない日が週1日以上ある」場合もオーラルフレイルの危険性が増すことがわかっています。
食生活の習慣やコミュニケーション量の低下が、口周りの筋肉の働きや口腔機能を衰えさせ、オーラルフレイルのリスクになるのです。
歯周病や虫歯、口腔乾燥などが起こり、口腔内環境が悪化、口腔機能の低下を招きます。そうすると、食べ物や唾液の中にいる細菌が誤嚥によって、気管から肺に入り「誤嚥性肺炎」を起こし、命の危険に繋がるのです。
対策として
①口の筋肉を鍛える
「パタカラ体操」発声しながら口を動かす口の体操です。パタカラの音を繰り返し発声することで、口や舌の動きを鍛えます。5秒間で30音以上発生できれば健全です。ぜひトライしてみてください。一人住まいの方なら、新聞のコラム、小説の音読など、話すということを1日の習慣にするのも、いいのではないでしょうか?
②食事内容の改善
噛み応えのあるものを食事、間食にとりいれましょう。そして、口の中に入れたものを20回以上噛むことを意識してみましょう。20回噛むというのは、かなり大変ですよね。せめて15回ぐらいは噛んでみませんか?噛むことは、筋肉を鍛えることに繋がります。そして肥満の防止にも、なると言われています。
③歯科医院に行く
「虫歯がある」「グラグラの歯がある」「痛いのを我慢している」のに、コロナウイルスが怖いからと、歯科医院に行くことを我慢していませんか?歯医者さんは、日ごろから感染症対策を徹底して、治療を行っています。我慢しすぎて、食生活が低下してしまっては、オーラルフレイルの危険性を高めることになります。必要以上に歯医者さんに行くことを怖がらずに、相談してください。
富永歯科クリニック 院長 富永 佳代子