大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック 副院長の赤野弘明です。今日は、歯が抜けてしまった場合の一般的な治療の選択としてよく聞く、インプラントと義歯の違いについてお話していきます。
インプラント治療
インプラントは、一般的には人工臓器として考えられるもので、歯の代替え器官として機能し、本来の器官と全く同じような機能を果たすものです。つまり、歯と全く同じように機能するという事です。
歯と同じように機能するという特徴は、歯の根っこが骨の中に杭のように埋まっているからで、インプラントも骨の中に埋め込んで、そのインプラントが骨とくっつく事で機能します。
つまり、インプラントによる歯は、骨によって支えられているために、歯と同じようにどんなものも噛め、全く歯と区別がつかないレベルで機能します。
インプラントは金属でできているという点で、虫歯になる事はありませんが、歯を支えている骨の疾患である歯周病はインプラントも同様に起こります。そのため、メインテンスを行い、歯周病のチェックをすることは、歯のメインテナンスと同じように重要な術後の処置となります。
自分の歯が本当にはえたかのように機能するインプラントですが、インプラント治療を受けるにあたってのハードルとなる事項は、外科処置が必要である事と自費診療であるという事です。
外科処置は、骨に埋め込むというイメージから恐怖心を持たれる事も多いですが、骨量が不足していて、GBR処置(GBR:骨を造成する処置)が必要でないインプラント埋入処置のみなら、1本につき20分程度の処置で、術後の疼痛や腫れなども比較的少ない処置です。GBR処置が必要な場合は、担当医とよく相談し、詳細の説明を受けてください。
また、糖尿病や骨粗鬆症、抗がん剤の服用をされている場合は、慎重な対応が必要となりますので、このような疾患や人工臓器が体内にある場合などは、担当医とご相談ください。
義歯治療
インプラントと相反する特徴をもつ義歯についてですが、義歯という字は義手、義足、義眼と同じように「義」という字がつきます。この「義」の意味ですが、「○○の代わりとなる」という意味を持ち、○○に代わって機能するわけですが、○○と同じ機能を果たすことはできません。さらに、その○○の代わりとして使いこなすには、どれも練習なくしては使えないのです。義足や義手が装着した日から足や手のように自由自在に使う事ができません。それに慣れ、練習する事で本来の機能の役目の何割かを行うのです。
従って、義歯の場合も、装着したその日から歯のように何でも噛めるわけではなく、異物感に慣れ、発音や咀嚼においてもそれに慣れる練習が必要となります。もちろん、お口の中ににフィットするように何度か調節が必要になるかもしれません。このような行程を経て、機能するのです。
もちろん、義歯は歯肉の上にのっているだけなので、噛む為に必要な力は歯ぐきが受け止めます。歯ぐきは骨と違って弾力性がある分、噛むことによって、わずかに沈下し、硬い物をしっかりかみ切るという力は、歯の1/5程度になってしまうと言われています。そのため、イカやタコといった弾力性のあるものは特に苦手な食材となります。また、義歯で粘膜を覆ってしまうため、お口の中の温度感覚は鈍ってしまいます。
ただ、良い点は、保険診療で治療可能であること、外科処置が必要ない事、治療期間が短い事です。
もちろん、義歯も保険診療と自費診療では、義歯の精度や快適性、長期間の耐久性は大きな差があるので、詳しくは担当医とご相談ください。
従って、私が健康に問題がなく、経済的にインプラント治療が可能な場合は、インプラント治療が第一選択となる場合が、多いと思います。
富永歯科クリニック 副院長 赤野弘明