こんにちは。大阪市福島区の歯医者 富永歯科クリニック院長 富永佳代子です。前回に引き続き、閉塞性睡眠時無呼吸について、診断、治療、改善方法をお話します。
検査から治療の流れ
歯医者さんで「睡眠中、いびきをかきませんか?」と聞かれ、心当たりがあるのならば、ぜひ医科を受診して睡眠時無呼吸の検査と診断を受けてください。その流れは以下の通りです。
①問診
②スクリーニング検査 自宅でパルスオキシメーターを使用し血中酸素濃度を測る
又は
検査施設外睡眠検査 自宅でパルスオキシメーターと呼吸センサーで酸素濃度、呼吸を測 定、体位センサーで体位を測定
③精密検査 病院に宿泊して、酸素濃度、無呼吸低呼吸指数、睡眠の質等を詳細に調査
④医科による診断と治療方針決定
⑤医科によるCPAP治療および歯科による口腔内装置装着治療
⑥医科による効果判定検査
歯科で閉塞性睡眠時無呼吸の治療を受けるには、必ず医科での睡眠検査と睡眠時無呼吸の診断を受ける必要があります。医科の紹介がない場合、口腔内装置などの歯科治療を保険診療では行えないので、ご注意ください。
気になる方は、以下の項目をチェックしてみましょう。
閉塞性睡眠時無呼吸スクリーニングテスト 当てはまる項目が3つ以上の方は中等症以上の可能性
①いびきが大きい。(話し声より大きい、扉を閉めてても聞こえる)
②疲労や倦怠感、昼間の眠気をしばしば感じる。
③睡眠中に呼吸が止まっているのを指摘された。
④高血圧ですか?または現在高血圧の治療を受けている。
⑤肥満 BMI指数が30以上
⑥50歳以上
⑦首の周囲径は40センチ以上
⑧男性である。
CPAP治療
簡単に説明すると、器械で空気を送り込んで呼吸を助ける治療法です。機械で圧力をかけた空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法です。 CPAPは、15~20cm位の大きさであるCPAP機器本体と、あらかじめ設定した圧力で空気を送るチューブ、鼻に当てるマスクからなり、睡眠中に装着します。現在では中等~重症の閉塞型睡眠時無呼吸症候群の標準的治療法として広く用いられています。
口腔内装置
マウスピースの一種で、就寝時に下に垂れて気道をふさぐ舌を、顎を少し前に出し固定することで持ち上げる装置です。お口の中に装着する小さな装置ですが、舌の垂れ下がりを防止し気道を確保することで、就寝中の酸欠を改善できます。
利点は
・音や風圧に慣れる必要がない。
・ホースなどの装置がないので、睡眠が楽
・CPAP治療と併用可能
・旅行や出張に携帯しやすい。
・充電や電源不要で災害時にも使用可能
欠点は
・顎関節症の方には使えない。
・かみ合わせが気になる方は不向き
・かみ合わせが変わらないように、毎朝ストレッチが必要
・鼻詰まりの人には使用不可能
・歯が無い人は、使えない場合がある。
最近は、歯ぎしり防止装置のナイトガードやインビザライン等の矯正装置を装着して、就寝することに抵抗感が無くなってきていますので、医科で相談されて、治療方法の一つとして選択されてはいかがでしょうか。
ご自分でできる改善方法
検査で閉塞性睡眠時無呼吸と確定されなくても、いびき、歯ぎしりがあって睡眠時無呼吸が気になられる方もおられることでしょう。ご自分で改善できることは、トライしてみましょう。
①抱き枕で横向き寝
気道を確保するために、抱き枕を使用して横向き寝をしてみましょう。但し、枕が高いと顎が引いた姿勢になるので気道がつぶれて狭くなり、改善されないので注意してください。
②鼻呼吸の習慣
口呼吸は閉塞性睡眠時無呼吸の大きなリスクです。口を閉じて寝る習慣を。鼻炎などがあって、鼻呼吸が難しい方は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
③体重管理
閉塞性睡眠時無呼吸は、太っている方だけではありませんが、肥満の方は食事の改善、運動を強化して、健康的に体重を減らしましょう。
④睡眠環境の改善
閉塞性睡眠時無呼吸の治療は、睡眠の質を高めるための治療です。寝室はできるだ暗く静かにし、快適な温度と湿度を保ちましょう。
気づきがあったら医科受診を!
睡眠時無呼吸の患者さんは、就寝中酸欠状態になり、十分な休息が取れません。重度になると、8年後の生存率が約6割になってしまいます。たかが、「いびき」と油断せず、検査、診断、治療を受けましょう。
富永歯科クリニック 院長 富永佳代子